浄水汚泥には含まれるが、浄水処理で取り除かれ水道水には含まれていない、ということ。
つまり、きちんと浄水・除去できている、ということになります。
水処理の仕事を経験したことがあるのでコメントします(いちおう、公害防止管理者水質第一種持ってます)。
本当は僕の住まいがある茨城県で考察したいところですが、東京都の方がweb上でのデータの蓄積がしっかりしているので東京都を材料に考察し、ついでに本件を材料に言いたいことを言います。
元データはここ。
水道水の放射能測定結果について 〜第77報〜
浄水場発生土の放射能測定結果について 〜第78報〜
上水道は、急速濾過による浄水が一般的です。
僕は緩速濾過支持者なので急速濾過と緩速濾過の違いについて触れたいところですがそれはまたの機会にしましょう。
(緩速濾過のフローを理解していれば、緊急用の浄水が必要になっても慌てずにすみますよ。自作できますから!
では、浄水場ではどのような処理を経て原水を浄化しているのでしょうか。、
急速濾過の処理フローはこのとおりです。
水・新発見 浄水場のしくみ
まず、沈砂池で取水した水に含まれる砂など(比重が重い)沈降しやすい物質を除去します。
次にPAC(ポリ塩化アルミ・凝集剤)を混ぜて、凝集沈殿させます。
この2段階で、原水中に含まれる放射性物質はほぼ除去されている、と思われます。この凝集沈殿の過程で活性炭を通常の4倍量(東京都の場合)を投入し、溶けている成分についても吸着除去しています。
懸濁物を凝集沈殿で除去し、溶けているもので活性炭で吸着できるものを活性炭で除去しています。
活性炭の量を減らしたら、もしかしたら再び検出限界値以上の放射能が混じってくるかもしれません。
降下した放射性物質のうち、マスクをすり抜けてしまうような小さなものは、現時点では大気中や水系からほぼなくなったか土などに付着した。粒子状になって降下してきたものも、イオン化せずに土砂や埃などに付着したままになっている、と想像しています。
つまり、以前より除去しやすくなっている、ということです(想像)。
環境中の、表土にそれらの物質が大量に残留しているはずで、風雨にさらされ水系に移る。土埃に付着して空中を漂っているものも雨でたたき落とされて水系に移る。それが浄水場で除去されたはいいが、なくなるわけではなく浄水汚泥中に濃縮されて存在している、という現状のように思います。
残念ながら、この状態は延々続きます。
今後、汚泥中の濃度の推移をみていけば、(今後の主たる汚染物質はCs:セシウム)環境中のCsがどのような挙動をとっているか想像がつくはずです。
■「検出限界以下」=「存在しない」わけではない
発表されている放射能測定値は、
1)各浄水場ごと(水道管に配水する直前の水) と、
2)水道水中(蛇口からサンプリングした私たちが飲む直前の水)
の2種類があります。
比較してみると、2)の方でも4月からはほぼ無視してよいレベルの汚染にとどまり、5月からはほぼゼロであることがわかっています。検出精度が2)の方がはるかに高いので、微量の混入まで分析できています。
1)の浄水場の水も、おそらく2)レベルの分析をすればNDにはならなかったはずです。
ま、データを見比べてみてください。
★要するに、こと放射能について言えば、東京の水道水はまったく問題ない、と言えます。情報開示がしっかりしていれば、判断できるんだ、ということを言いたい。
東京の水に関しては、まったくビビる必要がありません。
ぼくは(改ざんされない限り)データがすべて。安全かどうかなんて言ってくれなくていいというスタンスですので、東京都の現在の姿勢を支持します。
「暫定規制値以下なので安全で安心です!」という人たちをぼくはまったく信用していないんで。この期に及んでまだそれを言う方の人間性までも疑っちゃいます。
■しかし、汚泥をどうするか
浄水汚泥については、これはどうするか。行き場がない。が、セメント材料にに使われ続ける見込みです。
政府の原子力災害対策本部は、原子力安全委員会の助言を踏まえつつ、高濃度に汚染された福島県の(下水)汚泥については次の方針を示しています。
「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方」について
ここで、
「脱水汚泥のうち、10万Bq/kgを超える物など測定された放射能濃度が比較的高いものについては、可能な限り、県内で焼却・溶融等の減容化処理を行った上で適切に保管することが望ましい。なお、焼却灰については飛散防止のため、容器に封入する等の措置が必要である。」とされています。
これはつまり、焼却によって、再び放射能を大気中に放出してしまっていることを意味します。しかも、”10万Bq/kg ”という高濃度でも”燃やせ!”という指示です。さすがに高いのは保管しろ、ということですが。
焼却施設の近隣住民は、再放出された放射能による内部被曝を考えなくてはなりません。燃焼による高温で、再びイオン化・微細化することも考えられます。
ほんとうに行き場がない。
かつて台湾で放射能を含む素材が建材として使われ、健康被害が出たことがあります。日本もやはりそうなるのか・・・
■焼却灰の放射能
データみてください。
「下水処理における放射能測定結果」東京都下水道局総務部広報サービス課
これは物質(核種)は特定していませんが、下水汚泥の焼却灰が発している放射能の値です。
全β線量で 15,000〜24,000Bq/kgという高い値を示しています。
こうした焼却灰もセメント材料としての使用を禁止していません。濃度によりますが、ほとんど使われると思われます。ちょっと計算がよくわかりません。
再掲 「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について」
これは放射能に限りませんが、
「管理・回収するから大丈夫。コスト・ベネフィット計算するとベネフィット>コスト(リスク)だから使うのが正解!」と著名な専門家が主張し、僕らのような一般人(?)の言い分を「素人の意見」とか馬鹿にしてきました。
計算可能な経済的価値以外の評価はたしかに難しいです。検討方法のひとつとしてコスト・ベネフィット分析は有用ですが、数値は一人歩きするし、いくらでも恣意的な結論を導けます。
私たちは「環境・生態系とはどのようなものか」いま見せつけられているのかもしれません。
ふぅ。本稿は書くのに時間かかったわ。
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